コラム

事業再構築補助金とは?飲食店が押さえるべき要点と成功の秘訣

今回は、飲食店オーナーさまに向けて事業再構築補助金の詳細や採択のポイントをお伝えしていきたいと思います。
「事業再構築補助金を使いたいけど、よく分からない。。」「新規事業って何でもいいの?」こんなお悩みの方は必見ですので、是非ご覧ください。

この記事を読んで分かること
☑事業再構築補助金の概要
☑事業再構築補助金における採択の要点
☑認定支援機関目線の採択要点

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金は経済産業省が募集しているポストコロナ、ウィズコロナにおける日本経済の構造転換を促すための補助金です。

主な支援対象は、既存事業の売上回復が難しいなどの理由で、新しい分野への進出や業態の転換など、事業の再構築を目指す中小企業となります。

補助金は「いくら」もらえるの?

補助額は申請する枠や従業員数により変動しますが、最大1億円を受け取れる大型の申請枠もあります。また、補助率も最大3/4となり大規模な投資を検討されている飲食店オーナー様には非常に嬉しい補助金です。

例えば、補助率2/3であれば、3,000万円の事業投資を行った場合、2,000万円が補助金として支給されますので、実質1,000万円で3,000万円分の投資を行うことができます。

補助金は「なに」に使えるの?

事業再構築補助金の補助対象経費は多岐にわたります。以下の図が補助対象・対象外の経費一覧となっており、建物費やシステム構築費といった新規事業の根幹となる投資はもちろんのこと、広告宣伝費や研修費といった事業運営に必要な費用など、幅広い経費が補助対象となります。

例えば、広告宣伝費においては、チラシやポストカードの作成費などが対象となるため、地域にポスティングすることによって集客力向上が期待できます。

広告宣伝費、販売促進費を補助対象とする補助金は少ないため、この事業再構築補助金はとてもおすすめです。新規事業展開を考えている方には、ぜひ事業再構築補助金をご活用されてみてはいかがでしょうか。

弊社の支援先の飲食店オーナー様の場合

・店舗の改装費

・新規事業における広告宣伝費(チラシ、ポストカード含む)

・ECサイトの構築費

・新商品開発における専門家経費(有名シェフ監修等)

といった経費区分での投資を実行される方が多いです。

補助金は「いつ」もらえるの?

実は補助金は今すぐに貰えるお金ではないのです。補助金の申請後、一定期間事業を行って初めて給付されるお金です。

では、いつもらえるのでしょうか。交付申請や、実績報告等を行ったあとにもらえるため、スムーズに申請報告等を行った場合でも最短6ヶ月ほど時間を要します。

以下に、全体の流れを記載しましたので参考にしてみてください。

公募開始

・2024年4月開始予定          

受付開始

・2024年4月中旬開始予定      

申請締切

・2024年5月予定18:00まで

採択発表

・2024年7月中旬予定   

交付決定

・2024年8月頃~             

補助事業機関

・2024年交付決定後~2025年10月頃

確定検査

・2025年11月頃        

補助金の支払い

・2025年12月頃      

採択事例

スナックママAさんの事例(店舗改装、調理設備の導入)

既存事業の課題ときっかけ

地方都市の繁華街でスナックを経営していたが、酒類の提供をメインとしていたため、コロナ自粛により客数が激減した。その結果、売上が大きく下がってしまい、酒類を取り扱わない、昼間の時間帯をメインとした小料理の展開を検討した。

新規事業の内容

店舗内の改装への投資、及び本格的な調理設備を導入することで小料理屋を開業し、新たな収益の柱を確立する。

新規事業による成果

繁華街という絶好の立地を生かし、昼間の営業時間でも十分な収益を確保できた。そして、コロナ自粛が解除された後には、ランチタイムの営業に加えても居酒屋を開業した。その結果、昼夜を問わず多くの常連客が訪れ、収益がさらに伸びた。

POINT
繁華街のという立地の良さを活用した事業展開
既存事業のノウハウを活かした事業の展開

ハンバーガーショップBさんの事例(キッチンカーの導入)

既存事業の課題ときっかけ

地方でハンバーガーショップを営んでいたが、コロナ蔓延により客数が減少し、売上が大きく下がってしまった。そのため、新たな収益の柱を立てる必要があると判断した

新規事業の内容

キッチンカーを導入し、移動型店舗という新たな事業を打ち出し、売上の安定化を目指した。

新規事業による成果

キッチンカーを導入することで、人が多い地域や時間帯で販売することが可能になった。また、キッチンカーを視覚的に目立つように改装したことで、店舗以上の集客力を発揮し売上がV字回復した。

POINT
移動型店舗にすることで場所に縛らなくなり人の集まる場所で販売を可能に
広告費用を使わずにキッチンカー自体を広告塔に利用した点がユニーク

中華料理屋Cさんの事例(急速冷凍機、ECサイトの導入)

既存事業の課題ときっかけ

コロナ蔓延により客足が遠のいたことで売上が減少し、経営の危機に瀕していた。そこで、得意な中華料理を冷凍食品にしてECサイトによる販売を検討した。

新規事業の内容

急速冷凍機の導入、自社ECサイト構築に投資を行い、事業基盤の安定化を目指した。

新規事業による成果

中華料理のノウハウを持ち、味に自信があったため、冷凍食品のオリジナル商品開発に力を注いだ。さらに、自社のECサイトで販売することによって商圏を拡大することができた。さらに、企業からの弁当製造の依頼など幅広い顧客層を獲得できた。

POINT
◎冷凍食品にすることで日持ちが良くなり遠方の人でも購入が可能に
コロナ自粛を逆手に取ったオンライン販売

採択された事例の特徴として、どの飲食店オーナー様も既存事業の強みを活かした新規事業を展開しています。

新規事業を検討している皆さんには、まず既存事業の強みを分析してみることをお勧めします。

よくある悩み、疑問点

Q.新店舗展開を検討しているが、事業再構築補助金は使えるのか?

A.場合によってはご活用可能です。

多店舗展開をご検討の場合は、難しいです。しかし、全く新しい商品を扱う店舗であれば、事業再構築補助金を活用することは可能です。

例えば、中華料理屋を展開している事業者が、新規事業として、地元の食材を利用した惣菜店を開業する。このようなケースであれば十分に採択される可能性はあります。

実際に上記のような事例もありますので、新規事業の参考にしてください。

Q.店舗の移転を考えていますが、事業再構築補助金は使えるのか?

A.ご利用は難しい可能性が高いです。

冒頭に記載したように、事業再構築補助金はコロナによる既存事業の売上減少によって新規事業を検討されている事業者さまを支援する補助金です。

そのため、事業再構築補助金の趣旨である新規事業から外れてしまう可能性が高いです。

Q.申請前に行った投資は補助対象経費に含まれるのか?

A.場合によってはご活用可能です。

事業再構築補助金には、「事前着手制度」がありますので、こちらをご利用いただきますと申請前の投資を補助対象経費として扱うことが出来ます。

事前着手制度は2024年4月8日時点での情報となります。詳細は最新の公募要領をご確認下さいませ。

認定支援機関が見る、採択への要点

では実際に、上記事例のような事業であれば採択されるのか。と思われるかもしれませんが、そこまで単純ではないのが事業再構築補助金の難しさです。

しかし、いくつかのコツを押さえることにより採択率は格段に上がりますのでご紹介させていただきます。

コロナによって売上が大きく減少しており、緊急性が高いことを示す

事業再構築補助金は最初にもお伝えしました通り、ポストコロナ、ウィズコロナにおける事業転換を支援する補助金です。

よくある不採択例として事業計画書にコロナによる経済的被害をあまり記載しないケースがあります。

上記のような計画ですと、緊急性は高くないのかな?と認識されてしまうかもしれません。

意識することとしては、いかに既存事業が逼迫しており、新規事業が急務であるかをアピールすることです。

既存事業とのシナジー効果を示す

採択のコツとしては、いかに既存事業のノウハウを新規事業に活かすか、という点も重要になります。

採択事例も既存事業を活かした新規事業が多いです。全く新しい事業で採択を得ることも可能ですが、統計的に見るとシナジー効果を生み出す事業が採択されやすい傾向にあると言えます。

加点項目

加点項目というものをご存知でしょうか。おそらく耳にしたことがない方がほとんどだと思います。

実は、この加点項目をとることで補助金採択率がかなり上がります。以下に例をいくつか挙げておりますので、必ず事前に申請しておきましょう。

※あくまでも例となります。詳細は事業再構築補助金の公募要領をご確認下さい。

・パートナーシップ構築宣言

https://www.biz-partnership.jp/

・事業継続強化計画

https://www.keizokuryoku.go.jp/

・一般事業主行動計画

https://ryouritsu.mhlw.go.jp/

まとめ

・新規事業は既存事業とのシナジー効果を生み出すと採択されやすい
・飲食事業×非対面型事業が採択されやすい
 例:ECサイトによりオンライン上での販売等
・補助額は最大1億円
・事業再構築補助金は広告宣伝費・販売促進費に活用できる

今回は新規事業を検討している飲食店オーナーの皆さまに、事業再構築補助金の概要や採択事例を紹介しました。

補助金を利用することに不安を感じている方もいるかもしれませんが、事業再構築補助金は広告宣伝費や建物費など、幅広い経費が補助対象となるため、非常に使い勝手が良いといえます。

この補助金の申請を新規事業への一歩として考えるのも、良い選択肢といえます。

補助金を活用して事業の幅を広げ、新たな挑戦を始めることで、アフターコロナを見据えた事業展開のきっかけとしてみましょう。