コラム

経営力向上計画の申請方法を徹底解説

経営力向上計画とは

概要

経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき中小企業庁が認定する計画で、自社の経営力を向上させるための具体的な実施事項を盛り込んだ計画のことです。この計画には、人材育成や設備投資、事業改善など様々な取り組みが含まれます。認定を受けることで、税制や金融機関からの支援を受けられるため、多くの中小企業がこの制度を活用しています。

目的とメリット

税制上の優遇措置のメリット

経営力向上計画における、税制措置の概略図

経営力向上計画を認定された中小企業は、税制上のメリットを享受できます。具体的には、取得した設備や不動産に対する固定資産税の軽減措置や、不動産取得税の特例措置が受けられます。このような税制上の優遇措置により、設備投資へのハードルが下がり、事業の拡大や改善が容易になります。

金融機関による資金調達支援や保証制度のメリット

認定を受けた企業は、一般の金融機関からの融資や信用保証など、さまざまな金融支援を受けることができます。これにより、資金調達の機会が広がり、必要な資金をスムーズに確保することが可能となります。また、経営力向上計画に基づく取り組みが継続的に行われることで、金融機関からの信用力も向上します。

法的支援を受けることが可能のメリット

経営力向上計画を策定・申請し、中小企業庁から認定を受けることで、法律に基づく各種支援を受けることができます。例えば、リースによる設備投資も税制上の優遇措置の対象となりますが、リース契約を結ぶ際の法的なアドバイスやサポートが得られます。これにより、経営上のリスクを軽減しつつ、効率的に設備投資を行うことができます。

経営力向上計画の申請類型

経営力向上計画の申請方法には、主にA類型、B類型、C類型、D類型と呼ばれる4つの申請類型があります。これらの類型は、それぞれの企業や事業の状況に応じて選択することができ、適切な類型を選ぶことで、より効率的に経営力向上の目標を達成することが可能です。各類型について詳しく見ていきましょう。

A類型

A類型は、一般的な中小企業を対象とした経営力向上計画の申請類型です。設備投資や人材育成など、幅広く経営力を向上させるための具体的な実施事項を記載することが求められます。

この類型では、企業全体の経営力向上を目指す取り組みが重視され、中小企業庁による承認を受けることで、税制上の優遇措置や政策金融公庫からの融資といった支援を受けることができます。

B類型

B類型は、特定の分野に特化した経営力向上計画を策定する際に用いる申請類型です。例えば、製造業で新しい生産技術を導入する場合や、IT企業で最新のソフトウェア開発技術を取得する場合など、特定分野に焦点を当てた取り組みが重視されます。

この類型は、その分野での競争力を向上させるための具体的な計画を策定することが求められます。

C類型

C類型は、地域連携を重視した経営力向上計画を申請する際の類型です。中小企業が地域の企業や団体と連携して経営力を向上させるための計画を策定する場合に適用されます。例えば、地方の観光業者が観光協会と連携して新しい観光プログラムを開発する場合などが該当します。

この類型では、地域経済の活性化や地域資源の有効活用が重視されます。

D類型

D類型は、事業承継を視野に入れた経営力向上計画を申請する際の類型です。後継者の育成や事業承継に伴う経営力の強化を目指した計画が該当します。

特に、中小企業における事業承継は重要な課題となっており、後継者が確実に企業を引き継ぎ、さらなる経営力向上を図るための具体的な実施事項を記載することが必要です。

申請の準備

対象者

経営力向上計画は、主に中小企業や小規模事業者を対象としています。「特定事業者」として認定されるためには、従業員数が2000人以下であることが一つの基準となっています。

また、法人だけでなく個人事業主も申請可能です。この計画を策定することで、税制の優遇措置や金融機関からの融資支援などのメリットを享受できます。

特に、中小企業等経営強化法に基づく支援を受けるためには、「経営力向上計画」の申請が必要です。

必要書類の準備

経営力向上計画を申請する際にはいくつかの書類を準備する必要があります。具体的には以下の書類が必要です。

全類型共通(電子申請の場合)

  • 経営力向上計画認定申請書(原本)
  • 経営力向上計画認定申請書(写し)

全類型共通(郵送の場合)

  • 経営力向上計画認定申請書(原本)
  • 経営力向上計画認定申請書(写し)
  • 経営力向上計画チェックシート
  • A4サイズの認定書を折らずに返送可能な返信用封筒

中小企業経営強化税制A類型の税制措置を受ける場合

  • 工業会等による証明書

中小企業経営強化税制B~D類型の税制措置を受ける場合

  • 投資計画の確認申請書
  • 経済産業局の確認書

以上の書類を準備することにより、申請手続きをスムーズに進めることができます。

また、認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら計画を策定することが推奨されます。必要書類の準備が整ったら、申請書の書き方や様式に従って記入を行い、提出先に提出します。申請書は簡潔でわかりやすく記載することが重要です。

申請の流れ

電子申請と郵送申請

経営力向上計画の申請は、電子申請と郵送申請の2種類があります。電子申請はオンラインで手続きを完了できるため、手軽でスピーディーです。

電子申請を行う際は、必要な資料をPDF形式でアップロードし、申請フォームに必要事項を記入するだけで済みます。

郵送申請の場合、必要書類を揃えたうえで、中小企業庁または所定の提出先に郵送します。どちらの方法も一長一短がありますが、自社の状況に応じて適した方法を選んでください。

標準的な申請期間

経営力向上計画の申請には、標準的な期間が設定されています。申請から認定まで通常1か月程度を要しますが、申請時期や混雑具合によってはこれ以上かかることもあります。

特に年末や年度末は申請が集中しやすいため、余裕を持って申請することをお勧めします。また、申請書の不備や書類不足がある場合、再提出が必要となるため、準備段階でしっかりとチェックすることが重要です。

申請書の書き方

経営力向上計画の申請書は、自社の経営力を向上させるための詳細な計画を記載する重要な書類です。申請書の記載内容が認定の可否に大きく影響しますので、以下のポイントに注意して記入してください。

基本情報の記入

まず、申請書には企業の基本情報を正確に記入する必要があります。これは組織名、所在地、代表者名、連絡先などの情報です。これらの情報は、申請書の最初のページに記載されることが一般的で、中小企業庁による審査の際に重要な役割を果たします。

記入する際は、最新の情報を提供し、誤字脱字がないように注意してください。

事業分野と実施時期の記入

次に、具体的な事業分野とその実施時期を記入します。これは、計画を策定するにあたり、自社がどの分野で活動しているのかを明確にする部分です。

例えば、製造業、サービス業、販売業など、自社の主要な事業領域を示してください。実施時期については、計画開始から終了までの具体的なスケジュールを確定し、年単位や月単位で明確に記入します。これにより、提出先の中小企業庁がどの時期にどのような活動が行われるか把握しやすくなります。

現状認識と目標設定

最後に、現状認識と目標設定を記入します。これは、自社の現状を客観的に評価し、そこから得られる課題や改善点を明確にするセクションです。現状認識では、経営状況や市場環境、人材配置、設備の状況などを具体的に記載します。その上で、経営力向上の目標を設定します。

この目標は、具体的かつ達成可能なものであることが重要です。例えば、「新しい製品ラインを導入し、売上を20%増加させる」といった具体的な目標を記載するとよいでしょう。

このように、経営力向上計画の申請書を適切に記載することで、税制上や金融支援のメリットを最大限に享受することが可能です。記載の際は、認定経営革新等支援機関のサポートを受けることも検討してください。

認定後の手続き

認定証の発行

経営力向上計画が認定されると、中小企業庁から正式な認定証が発行されます。この認定証は、税制上の優遇措置や金融機関からの資金調達支援を受ける際に必要となる重要な書類です。

認定証の発行を受けた後は、計画に基づいた具体的な実施事項を進めることが求められます。設備投資や人材育成を計画通りに進め、経営力向上を目指しましょう。

再申請や更新手続き

経営力向上計画は、一度認定を受けた後でも、経営環境の変化や計画の進捗状況に応じて再申請や更新手続きを行うことが必要です。

中小企業等経営強化法に基づく支援を継続的に受けるためには、計画が途切れることなく有効であることが重要です。再申請や更新手続きには、同様に必要書類を準備し、適切な申請書の書き方を守ることが求められます。これにより、税制や金融支援の恩恵を持続的に享受することができます。

まとめ

経営力向上計画の申請方法について徹底解説しましたが、その重要性は中小企業にとって非常に大きいです。経営力向上計画は、自社の経営力を向上させるために必要な具体的な実施事項を策定し、人材育成や設備投資などの手段を駆使することで、事業の継続と拡大を目指します。

この申請を通じて、税制や金融の優遇措置を受けることができ、最終的には企業の成長と発展を支援します。また、申請書の書き方や提出先、申請時に必要な書類の準備も重要なポイントとして押さえておくべきです。必要事項を適切に記入し、認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら計画を練り上げることで、効果的に申請を行うことができるでしょう。

経営力向上計画は中小企業等経営強化法に基づいた重要な支援制度ですので、これを活用することにより、企業の競争力を大いに向上させることが可能です。適切に手続きを行い、計画を実施することで、税制優遇措置や政策金融機関からの支援を受けられ、事業の成功に大きく寄与することが期待されます。