コラム

【躍進的な事業推進のための設備投資支援事業】東京都限定補助金の申請内容を解説

こんにちは。本日は「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」について紹介します。

この制度は2021年度から始まった東京都の制度です。

2024年度は第7回からの公募を予定しています。

助成される金額の上限が非常に大きいため、気になっている事業者の方も多いのではないでしょうか。

一方で過去の採択率をみる限り、かなり難易度が高いといった印象を受ける方が多いのも事実です。

この記事では躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(以下「本事業」とします。)について、概要のおさらいと申請のポイントに絞ってお伝えしていきます。

申請に興味を持っている事業者のみなさまは、ぜひ検討のファーストステップにご活用ください。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の概要

早速概要を確認していきましょう。

本事業は東京都による都内の中小企業者の競争力強化や生産性向上に対する取り組みに対する支援です。

試作や開発のフェーズではなく、量産のフェーズにある事業を支援する点も特徴です。

対象要件

まずは対象要件を確認しましょう。

前提として、2024年4月1日現在で東京都内に登記簿上の本店または支店があることや、都内で2年以上事業を継続していることが挙げられます。

また東京都に納税していて税金の滞納がないこと、法令を遵守していること、事業の継続に問題のないこと等、細かな要件が定められています。

まずは募集要項に目を通し、支障がないかを確認されることをおすすめします。

加えて躍進的な事業推進に該当していることとして、以下のⅠ~Ⅳのいずれかに合致する事業であることが要件とされています。

Ⅰ. 競争力強化

「更なる発展に向けて競争力強化を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業」を指します。

Ⅱ. DX推進

「IoT、AI、ロボット等のデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業」を指します。

Ⅲ. イノベーション

「都市課題の解決に貢献し国内外において市場の拡大が期待される産業分野において、新事業活動に取り組むことで、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業」を指します。

Ⅳ. 後継者チャレンジ

「事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる設備等を新たに導入する事業」を指します。

助成額

助成額については、まずは下記の一覧表を確認しましょう。

それぞれの事業区分によって助成率が変わるため、必ずご自身が申請を検討している事業区分で検討しましょう。

またゼロエミッション要件といって省エネルギー効果の高い取り組みを実施する場合には助成率が拡充される選択肢があります。

ただしこれらの要件は申請書類の記載内容を総合的に判断され助成率が変更になるため、ご留意ください。

また賃上げ要件という一定の賃上げを要件に助成率の拡充を図ることのできる選択肢も存在します。

仮に中小企業で、競争力強化の事業区分で5,000万円の経費にて申請を行い、採択された場合には、2分の1の助成率のため2,500万円の支援を受けられるといった認識です。

さらに、この企業が賃上げ要件にも該当すると認められた場合には、4分の3の助成率となり、3,750万円の支援が受けられるということになります。

かなりの金額の支援が変わってしまうため、もしこれらの要件を有りで申請を検討されている場合にはゼロエミ要件の場合には省エネ効果、賃上げ要件については計画の実効性を、申請様式の中でしっかりと整合性をもって記載する必要があるでしょう。

またⅠ競争力強化の小規模事業者でゼロエミッション・賃上げの要件を両方満たさない場合には補助上限額が3,000万円となります。

このケースでは補助率は3分の2ですから、4,500万円の経費に対して3,000万円の支援が限度となります。

仮にこの事業者で8,000万円の経費がかかったとしても、助成を受けられるのは3,000万円になりますので、ご注意ください。

補助対象経費

対象要件である競争力強化、DX推進、イノベーションの推進、後継者による新たな取り組みに必要となる機械装置を新たに導入するための経費が対象となります。

具体的には税法上の固定資産のうち、機械設備、工具器具備品、ソフトウエアに該当することが要件です。

また補助対象にならない経費について、募集要項にしっかりと明記されています。

同じ機械設備の費用でもデモンストレーション等を目的としている場合には対象となりません。またソフトウエアの周辺支出についても掲載があります。

必ず申請前に確認をしましょう。

1基が50万円(税抜)以上という金額の制約もあるためご注意ください。

申請スケジュール

第7回公募についてのスケジュールは2024年5月8日(水)から5月24日(金)17時までです。

また本事業ではJグランツという電子申請のシステムを利用します。

Jグランツの利用には事前にGビズIDプライムのアカウントが必要になります。

このGビズIDプライムの発行には印鑑証明等の必要書類があり、申請には2~3週間かかることが想定されますので、まだ発行していない事業者の方は早めにご対応いただくことをおすすめします。

なおGビズIDの発行方法については別の記事がありますので、こちらからご確認ください。

本事業の申請には予約が必要な点も大きな特徴です。

申請予約は2024年5月1日(水)から5月21日(火)17時までとなっています。

特に申請期限に近い場合には注意が必要です。

POINT
申請予約:2024年5月1日(水)から5月21日(火)17時まで
申請期日:2024年5月8日(水)から5月24日(金)17時まで


申請に必要な書類

Word・Excelの様式で必要書類があります。

もちろんすべての書類の準備を進めていただく必要がありますが、必ず募集要項と東京都中小企業振興公社のホームページに目を通すようにしましょう。

特に事業計画については、審査項目のどの部分に該当するかまで、記載例にしっかりと明記されています。

何を審査される欄なのかを意識するだけでも記載すべき内容が変わってくることは、言うまでもありません。

ただ該当項目を埋めていくだけではなく、審査員に伝えるべきポイントを思い浮かべながら記載する必要があると思われますので、必ず目を通すようにしましょう。

また本事業の収支計画は10年間の記載が必要になる点も他の補助金と異なるポイントではないでしょうか。

他の補助金の多くは、収支計画は3年~5年での作成が一般的です。

補助上限額の大きな事業となるため、長期的なスパンでの収支計画が求められます。

早めに着手してしっかりと内容を検討することをおすすめします。

申請のポイント

まず本事業の過去の採択率は公表されておりませんが、予算枠から検討しても決して高くないことが想定されます。

その中でしっかりと採択されるためには、以下の2点がポイントになることが考えられます。

①事業計画や収支計画で、取り組む事業が補助金の主旨に合致していることをアピールすること

事業計画は審査項目に沿った内容になっているか今一度確認しましょう。

競争力強化や生産性向上という主旨に合致しているか、対象要件にある競争力強化、DX推進、イノベーション、後継者チャレンジのいずれかに沿った事業であるかも大切な要素といえるでしょう。

また収支計画も根拠があり、かつ収益性の見込まれるものであることが求められるでしょう。

根拠のない収支や実現性の低い収支になっていないか、本事業を通じて設備投資をした結果、収支にプラスの影響を与える点について根拠をもっているかといった点に留意されることをおすすめします。

②面接審査の準備をすること

面接審査では目的との整合性、優秀性、実現性、成長・発展性、計画の妥当性、設備の価格の妥当性等が検討されます。

大きな金額の支援についての面接審査ですので緊張する場面になることが想定されますが、しっかりと伝えられるよう事前の対策は練っておきたいものです。

もちろん面接審査を通じて事業者のみなさまが主体的に取り組んでいるかは伝わることでしょう。

事前にしっかりと準備を行い、主体的に取り組むことをおすすめします。

 まとめ

この記事では、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業について解説しました。

設備投資の助成金として、かなり大きな金額の支援を受けられる可能性がある事業ですので、魅力的に感じていらっしゃる都内中小企業の方も多いかと思います。

採択までの道のりが必ずしも簡単とはいえない制度ですが、活用を検討してみることも選択肢でしょう。

あなたの関わる事業の発展に向けた後押しになりましたら幸いです。