コラム

【新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業】知る人ぞ知る東京都限定の補助金の申請内容を解説

今日は「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」について紹介します。

東京都が令和6年度に新たに実施するこの制度、初めて目にされる方も多いのではないでしょうか。

この記事では制度の概要だけでなく、他の補助金と比較した申請の違い等にも触れています。

ぜひ最後までチェックしてみてください。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(以下「本事業」とします。)とは、昨今多くの企業が抱えている課題や経営環境の変化に対する取組に対しての支援です。

新型コロナウイルス感染症からの回復期である現在、消費者のニーズは様々に変化しています。

また世界的に見たエネルギーや原材料価格の高騰、急速に進むインフレ環境下での人件費の高騰といった課題は日本企業が共通で抱えている課題といえるでしょう。

これらの課題に対し既存事業を深化・発展させる取り組みや、その事業計画を策定することで、都内中小事業者の経営基盤の強化につながることが想定されます。

これらの取り組みに必要な経費の一部が支援される制度が、新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業です。

既存事業の深化について

ここでは経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取り組みを指します。

高性能な設備への投資により競争力を強化することや、既存商品やサービスの品質向上、効率化のための設備投資による生産性の向上等が挙げられます。

既存事業の発展について

ここでは経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に新たな事業への展開を図る取り組みを指します。

新商品や新サービスの開発や提供方法の導入等、既存事業で得た知見や技術に基づいて行われる新たな取り組みが挙げられます。

本事業の要件を確認

本事業の要件はすべて募集要項に記載されています。

ここでは概要や最初に押さえておきたいポイントを紹介します。

情報収集のファーストステップにご活用いただければ幸いです。

助成対象要件

どのような事業者が対象になるかを確認していきましょう。

まず都内の中小企業が対象になります。法人、個人事業主とも対象です。

また売上高による要件があります。直近決算期の売上高が、「2019年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少しているか、直近決算期において損失を計上していることが要件です。

本事業は、専門家の審査があります。500社程度が対象として採択されるとのことですので、要件を満たしている中小企業がすべて採択されるというわけではありません。

また他にも要件が細かく決まっていますので、募集要項に目を通すことをおすすめします。

助成額や助成率

本事業での助成率は3分の2、助成限度額は800万円となっています。

最大で助成されるケースでは1,200万円の経費のうち800万円が助成されるといったイメージです。

助成対象経費

助成の対象になるのは、経営改善計画に基づいて実施する取組に係る経費とされており、具体的な内容は幅広く設定されています。

以下の経費が対象となりますが、それぞれに細かい規定があります。

こちらも募集要項でしっかりと確認しましょう。

①原材料・副資材費

製品やサービスの改良等に直接使用・消費する原材料や副資材、部品等の購入に対する経費を指します。

販売用の製品や材料費は、対象になりません。

購入品の現物や写真での確認が必要になります。詳細を募集要項でしっかりと確認しましょう。

助成事業終了時点で未使用の部分に対する経費は対象となりませんのでご注意ください。

②機械装置・工具器具費

製品・サービスの改良等に直接使用する機械装置や工具器具備品を新たに購入したり、リース・レンタルする際に要する経費を指します。

単価が税抜価格で10万円未満のものに係る経費は対象外となります。

その他にも様々な制約がありますので、募集要項に目を通して検討してください。

リース・レンタルは助成対象期間のみの対象になります。

③委託・外注費

自社内で直接実施することができない製品やサービス改良の一部を外部の事業者等に依頼する経費です。

他にも共同研究を実施するために要する共同研究費、想定顧客のニーズを調査・分析するため外部の事業者に依頼する市場調査費もこちらの区分に含まれます。

市場調査費のみでの申請ができないといった注意点がありますので、募集要項を確認しましょう。

委託費と外注費って何?

委託費:実施するものにおいて創意工夫や検討が必要なもの
外注費:使用書等において実施内容を具体的に指示できるもの

④産業財産権出願・導入費

改良等をした製品・サービスに係る特許権、実用新案権、意匠権、商標権(以下「特許権等」とします。)の出願に要する経費を指します。

また製品・サービスの改良等に必要な特許権等を他の事業者から、譲渡や実施許諾を受けるために要する経費も含みます。

権利者が複数に渡る場合には持ち分に応じた額のみの助成になる等の注意点があります。

また対象とならない経費も定められていますので募集要項を確認しましょう。

⑤規格等認証・登録費

改良等をした製品・サービスの規格適合、認証の申請・審査・登録に要する経費を指します。

これらに係る外部専門家の技術指導や研修を受ける場合の経費についても対象となります。

対象経費の具体例、対象外経費の具体例が列挙されていますので、募集要項を確認しながら対象となるか検討することをおすすめします。

⑥設備等導入費

本事業の取組に直接必要な設備・備品等の購入費及びそれらの設置工事等に直接必要な経費を指します。

機械装置・工具器具費同様に単価が税抜価格で10万円未満のものに係る経費は対象外となります。

他にも対象外となる経費が定められていますので募集要項をしっかりと確認しましょう。

⑦システム等導入費

本事業の取組に直接必要なシステム構築、ソフトウェア・ハードウェア導入、クラウド利用等に要する 経費を指します。

単価が税抜価格で10万円未満のものに係る経費は対象外となります。

注意点が多く、対象経費とそうでない経費の線引きも必要ですので、募集要項に目を通しましょう。

⑧専門家指導費

本事業の取組について、外部の専門家から専門技術等の指導・助言を受ける場合に要する経費を指します。

自社と顧問契約等を締結している会社等からの指導・助言は対象となりません。また本事業に直接関係のない指導や助言も対象となりません。また所得税の源泉徴収を行う場合には助成対象期間内の納付が必要となる点にも注意が必要です。

詳細については募集要項を確認することをおすすめします。

⑨不動産賃借料

本事業の取組に必要な事務所、施設等を新たに借りる場合に要する経費を指します。

住居兼店舗・事務所(助成対象となるものに限る)については、店舗専有部分に係る賃借料のみが対象となります。

また対象経費とそれ以外についての明確な区分が募集要項に記載されています。要項と契約書等をしっかりと確認して申請に備えるようにしましょう。

⑩販売促進費

販売促進費の中でさらに10種類に細分化されています。

具体的には自社 Web サイト制作・改修費、印刷物製作費、PR動画製作費、広告費、出展小間料、資材費、輸送費、通訳日、オンライン出展基本料、ECサイト出店初期登録料です。

かなりボリュームのある項目です。詳細は募集要項を確認してみましょう。

また販売促進費のみでの申請はできません。

⑪その他経費

本事業の取組に直接必要な経費で、他の経費区分に属さないものを指します。

その他経費のみでの申請はできません。

対象ではない経費が明確に記載されています。

またその他経費の対象外に記載されていない場合でも、他の経費の要項に記載がある可能性もありますので。念入りに確認してみることをおすすめします。

<申請スケジュール>

本事業の申請は第1回から第12回まで予定されています。

詳細なスケジュールは募集要項をご確認ください。

なお最終の申請である第12回は第12回の最終は令和7年3月3日から3月14日までとなっています。

また予算の都合上、申請件数が各月の予定数に到達した場合、申請受付期間満了前に募集を締め切ることがあります。

申請を検討されている事業者のみなさまは、早めに募集要項に目を通されることをおすすめします。

各回共通の申請ステップですが、申請を提出した後、専門家による審査を経て交付決定となります。助成事業を実施した後に実施報告を行い、完了検査後に確定します。

この完了検査にはアドバイザー派遣といって第三者による確認が必須となります。 

交付決定を受けた後の発注や契約が対象となります。また助成対象期間は交付決定から1年間となり、この期間内に契約・実施・支払が完了している経費が助成対象になります。

他の補助金と同様にはなりますが、実際に助成対象となる経費を支出してから入金されるまでにはかなりの期間を要することが想定されます。

大きな支出に対しての助成が想定されますので、資金繰りついては事前にしっかりと検討しましょう。

<申請に必要な書類>

申請様式や誓約書が必要になります。

こちらは公式ホームページから入手して記入しましょう。

法人の場合には履歴事項証明書、法人事業税・法人都民税の納税証明書、個人事業主の場合には開業届、住民税(非課税の場合には所得税)納税証明書、また法人・個人事業主のどちらも決算書等の書類が必要になります。

申請内容に応じて見積書やカタログ・図面等も必要です。

それぞれの申請のタイミングによって必要な書類が異なるだけでなく、事前に準備が必要な書類もある点に注意が必要です。

申請書類に不足や不備等があった場合には申請が不受理になることが明記されていますので、申請を検討される最初の段階で募集要項やホームページにしっかりと目を通すことをおすすめします。

また申請はJグランツによる電子申請となります。まだIDを取得していない事業者のみなさまは、先に取得を検討してもいいかもしれません。

申請や審査のポイント

本事業の特徴として、専門家の審査の中に面接審査が含まれる点が挙げられます。

代表者、役員・従業員の出席が必要で、コンサルタント等の代理出席や同席はできません。

そのため事業者で主体的に取り組む必要がある制度といえるでしょう。

また助成対象事業者が500社程度とかなり絞られていることから、経営改善計画をしっかりと作り込むことが必要になりそうです。

もちろん経営改善計画は事業そのものの羅針盤としても、とても有効な手段といえます。

ぜひ策定を検討されることをおすすめします。

<まとめ>

この記事では新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業について紹介しました。

本事業では、500社前後の採択を想定しているということで、かなり絞られた支援になることが予想されます。

令和3年経済センサスの情報ですが、東京都に本社等を有する個人経営を含む企業等は45万社を超えています。

もちろん中小企業に絞った統計ではありませんが、かなり採択率の低い制度になる可能性は否めません。

一方で助成上限額が800万円とかなり大きな金額の支援を受けられる点は大きな魅力です。

検討される事業者の方は、募集要項や東京都中小企業振興公社のホームページをチェックしていただくことをおすすめします。

申請フローの特徴として、面接がある点は他の補助金との大きな違いといえるでしょう。

この点から他の補助金以上に事業者のみなさまが主体的に取り組む必要があります。

もちろん全力でサポートは致しますので、ご検討いただく事業者のご担当者様は、ぜひ1度お問合せください。